内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室の依頼を受け、下記の点を考慮したシミュレーション行いました(依頼日: 2021/6/13)。

  • 東京都内(2021/6/10 〜 2021/8/31)
  • 従来株からデルタ株への入れ替わりスケジュール
  • ワクチン接種スケジュール(1回/2回接種)
  • 緊急事態宣言の解除(6/20)およびそれに伴う人流増加
  • オリンピックに伴う人流増加

シミュレーションは、対策室より指定された複数のシナリオで実施されています。この結果の一部として、

  • 1日15万件のワクチン接種を維持し、かつ、デルタ株へ移り変わらない場合、大幅な感染拡大は起こらず、7月中旬以降ゆるやかに収束に向かうこと
  • 1日15万件のワクチン接種を維持し、かつ、デルタ株へ移り変わる場合、都民の70%がワクチンを接種するまで感染が拡大し続けること(ワクチン接種率70%以上で、感染拡大が停止し、収束に向かう)

などがわかりました。なおこれ以外にも、各種イベントに由来する人流変化が感染者数に与える影響も調査しています。また、都内で今後必要となる医療リソースを把握するため、感染者数のみならず、入院患者数、重症者数、死者数の推計値も報告しています。これらの結果の詳細は、6/14深夜に内閣審議官および担当大臣へと提出されました。本研究室は、内閣府が指定した条件設定を満たす数理モデルを微分方程式により設計し、近似解を算出することで、シミュレーションを実施しました。

2021年6月18日追記:
西村経済再生担当大臣の定例記者会見(2021年6月18日)で、本資料が活用されました。

2021年6月29日追記:
ワクチンの効果などについては、下記が参考にされているようです。複数の論文で感染率と死亡率の減少が報告されています(なお、追試が十分に行われていない報告にしか過ぎないことは、留意する必要があります)。
厚生省, 現在の新型コロナワクチンの感染予防効果のエビデンス(令和3年5月6日アドバイザリーボード提出資料)