Abstract
近年では誰でも使えるさまざまなツールが入手できるようになり、専門的な知識がなくても簡単にオリジナルの楽曲を作成できるようになりました。また、ソーシャルメディアなどを通して、自分の楽曲を多くの人に披露できる機会も格段に増えました。このような背景から、聴く側に対して楽曲がやや供給過多となりつつある今日、ヒット曲を生み出すことは容易ではありません。では、楽曲の特徴から人気が出るかどうかを推定することはできないでしょうか?また、人気度に特に影響を及ぼす楽曲の特徴を推定することはできないでしょうか?
私たちは、楽曲の属性として、BPM(テンポ)、曲の長さ、K-POPか、J-POPか、ROCKか、HIPPOPか、という6つの要素を選び、実際に存在する100の楽曲を用いて、それらの属性を調べてみました。また。人気度の指標として、それらの楽曲がYouTubeで1日あたり平均何回再生されたのかを調べました。そして、収集したデータを基にAIを作成し、楽曲の属性から人気度(YouTubeでの再生回数が多いか少ないか)を推定できるかどうかを調べてみました。その結果、私たちが構築したAIモデルは、人気のある楽曲は人気があると推定できましたが、人気のない楽曲を人気がないと必ずしも推定することができませんでした。そして、テンポの速いK-POPはYouTubeで頻繁に再生されることが推定されましたが、テンポの遅いK-POPや、テンポの速い遅いにかかわらずJ-POPは、再生回数がそれほど上がらないであろうと推定されました。
この試みは、2022年に実際に存在する楽曲のデータを使い、実際に存在する楽曲の再生回数をAIに推定させるというもので、これからリリースされる未知の楽曲が将来どのくらい再生されるかを推定するものではありません。楽曲の属性はもっと多様であり、また、時代とともに楽曲の属性と人気度の関連も変化していくでしょう。もし、皆さんの中に「次はこの曲がヒットするかも」という勘がよく当たる人がいれば、どうしてそう思うのかを考えてみてください。その「勘」の根拠は何なのかをAIに教えてあげることができればAIの推定精度はもっと向上し、変化するトレンドの中でヒットする曲の特徴を言い当てるようになるかもしれません。
Publication
- 野呂颯汰, 大前佑斗ほか, 楽曲属性から人気度を推定するニューラルネットワークの構築, 電子情報通信学会 総合大会2022, 2022.03.15(オンライン開催).
Note
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