人工知能により消費カロリーと消費脂肪量を推定する運動支援システム

人工知能により消費カロリーと消費脂肪量を推定する運動支援システム

Abstract

近年、若年層の肥満化が数多くの国で問題になっています。「甘いものの匂いを嗅いだだけでも太る」と冗談めかして言う人もいるように、食べたものの種類や量の割に太っている人、逆に痩せている人もいます。このような個人差はあるにせよ、一般的には1日のエネルギー摂取量に見合ったエネルギーを消費すれば、肥満は防げるはずです。過剰に摂取したエネルギーを消費する方法としてすぐに思いつくのは運動ですが、継続的な運動には、過剰摂取したエネルギーの消費だけでなく、健康に良い様々な効果が期待されています。

私たちは、運動の種類(有酸素運動か無酸素運動か)を自動的に判断し、その種類に応じた消費カロリーと消費脂肪量を把握できるような運動支援システムの開発を始めました。まず、運動(身体動作)に関するデータとして、3軸(x/y/z軸)方向の加速度と角速度を測定する慣性センサを運動する人の左手首に装着してもらい、各種の運動中に得られるデータをリアルタイムで集めました。それから、収集したデータをいろいろな情報と共にAIに学習させ、運動動作の種類や回数を判定したり、消費カロリーや消費脂肪量を計算したりできるようにしました。このようなAIによる判定・計算の結果は、使用する私たちにはそのままでは伝わりません。そこで、使用者に分かりやすい形式で結果を示すグラフィカルユーザーインターフェースも開発しました。

「左手首に装着」というとスマートウォッチを思い浮かべる人も多いでしょう。ご存知のように、スマートウォッチで心拍数や血中酸素濃度の測定をしたり、歩数に基づいた消費カロリーを計算したりすることができるようになり、健康志向の機能が大変身近なものになりました。私たちの研究が今後さらに発展すると、運動の種類を詳細にかつ自動的に区別し、そこから消費カロリーだけでなく様々な健康指標を計算してくれる、そのようなスマートウォッチが将来店頭に並ぶようになるかもしれません。

Publication

  • 森雅也, 大前佑斗, 畳込みニューラルネットワークと慣性センサによる運動支援システムの構築, 情報処理学会第80回全国大会, 2018.03.13. [Link]

Note

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文責: 大前佑斗

日本大学生産工学部マネジメント工学科 専任講師、人工知能リサーチセンター 研究員。ゼミ配属では、プログラミングや人工知能を、時間をかけ丁寧に学習したい方を募集しています。文系・理系、どちらでもokです。

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