クラス分類問題における個人差と試行差に対してロバストな特徴量選択を可能とする空間評価アルゴリズム

クラス分類問題における個人差と試行差に対してロバストな特徴量選択を可能とする空間評価アルゴリズム

Abstract

クラス分類問題を解く際、教師あり学習(例えば、サポートベクターマシン、k近傍法、ニューラルネットワーク)を使用することがほとんどです。しかし、採用する特徴量ベクトルの次元が大きい場合、汎化性能が低下することが知られています(次元の呪い)。この問題を解決するために、すべての特徴量を使用するのではなく、その中から分類に必要のない特徴量を発見し、除去することが必要となります。このためのアルゴリズムとして、BW-ratio、Out-of-Bag、ReliefF、Minimum Reference Set、ステップワイズ、L1正則化など多様な方法が知られています。

しかし、特に身体動作判定を実現するクラス分類問題の場合、同じ動作であるにもかかわらず、被験者の個人的特性や疲労・慣れなどにより、特徴量空間上で散布されるデータにバラツキが生じます。このため、従来の特徴量選択アルゴリズムでは、有効な特徴量を発見することは困難でした。そのため本研究では、上述の差を「個人差・試行差」と名付け、それらをパラメータとして有する確率分布を設計し、さらに、異なるクラス同士の共有面積を定量化することで、身体動作の個人差と試行差に対してロバストな特徴量評価アルゴリズムを提案しました。実際のデータを使用した有効性評価では、既存手法と比べ、提案手法の方が有効な特徴量空間を発見することができることを示しました。提案手法により検出された特徴量空間上で、サポートベクターマシンなどの教師あり学習手法を適用することで、従来よりも汎化性能の高いクラス分類器を構築できるようになることが期待されます。なお、提案手法を異常値検知問題に拡張した発展的研究も行っています。

Publication

  • Yuto Omae, Hirotaka Takahashi, Feature Selection Algorithm Considering Trial and Individual Differences for Machine Learning of Human Activity Recognition, Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics, vol.21, no.5, pp.813-824, 2017.09. doi: 10.20965/jaciii.2017.p0813 [Cite Score (Scopus) = 0.9] [Link]
  • Masaya Mori, Yuto Omae, Takuma Akiduki, Hirotaka Takahashi, Consideration of Human Motion’s Individual Differences-Based Feature Space Evaluation Function for Anomaly Detection, International Journal of Innovative Computing, Information and Control, vol.15, no.2, pp.783-791, 2019.04 [Cite Score (Scopus) = 1.8]

Note

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文責: 大前佑斗

日本大学生産工学部マネジメント工学科 専任講師、人工知能リサーチセンター 研究員。ゼミ配属では、プログラミングや人工知能を、時間をかけ丁寧に学習したい方を募集しています。文系・理系、どちらでもokです。

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