Abstract
通常の医療現場では患者との会話やカルテから患者の詳しい背景情報を把握することができますが、交通事故などの緊急時には、意思疎通が困難な身元不明の患者に対応しなければならないことがしばしば起こります。そうした状況下で適切な治療を行うためには、レントゲン画像のような客観的な指標から患者の背景情報を推定できるようになるとよいでしょう。例えば、年齢を推定できれば、選択可能な薬品や治療方針などを特定するのに役立ちます。
私たちはAIを使って胸部X線画像から患者の年齢を推定することができるかどうかを検証しました。1000名近い患者さんのデータを入手し、胸部X線画像と年齢(50歳未満、70歳以上70歳未満、70歳以上)の関連性をAIに学ばせたところ、AIは特に患者さんが70歳以上であることを正しく推定しました。さらに、AIが画像のどの部位を判断根拠としているのかを可視化したところ、50歳未満であるという推定には肺の左端付近、70歳以上であるという推定には心臓部というように、年齢層によって異なる部位を参考にしていることがわかりました。
このようなAIによるレントゲン画像からの年齢推定モデルが確立すれば、緊急時における早期医療提供を支援する強力なツールとなるでしょう。
Publication
- 三浦朋樹, 大前佑斗ほか, ホワイトボックス型畳み込みニューラルネットワークによる胸部X線画像からの年齢推定, 電子情報通信学会総合大会 2023
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