接触確認アプリCOCOAについて

0. はじめに

2020年7月28日、本学本研究室より、接触確認アプリCOCOAの効果検証に関わるプレスリリースを行いました。様々なメディアに取り上げていただき、大変ありがたい思いです。ここでは、本研究の公表について、いくつかコメントを載せます。


1. 本研究のシミュレーションについて

これはあくまで個人的な考えですが、COCOAが効果を発揮するには、以下の4つが重要なポイントであると考えています。

  • p1: アプリの利用率
  • p2: 接触確認後の外出確率の減少値
  • p3: 感染者の登録率
  • p4: 接触確認後の外出自粛の維持期間

あとは、アプリにバグがどれくらいあるかなども重要ですけれど、あまりごちゃごちゃさせると、何を明らかにしたいのかわからなくなってしまいますので、そういうのはいれていません。

p1は言わずともがな、人口の何割がアプリを利用するかです。なお、ここでいう利用とは、ダウンロードするだけではなく、Bluetoothを常時オンにしている人の割合になります。

p2は、アプリを経由して、感染者と接触したことを知ってしまった人が、外出をどれくらい減らすかに関するパラメータです。基本的には部屋にずっといた方がいいと思いますが、気にしないで外出する人もいるでしょうから、このようなパラメータを用意しています。

p3は、感染者がアプリに登録する割合です。COCOAは感染者が登録してくれないと効果が発揮されません。したがいまして、これを表現するパラメータを用意しています。これは、感染者がアプリを使用しており、かつ、PCR検査などで感染が特定され、かつ、感染者が登録を拒否せずに登録してくれた割合を意味します。

p4は、アプリを経由して接触を知った人が、外出を減らす期間をどのくらいにするかです。外出が減る量自体はp2で定義されています。p4は、その時間を意味します。


2. 公表された結果について

まず、本研究で実施したシミュレーションは、簡易版と詳細版があります。簡易版は7月上旬に実施し、詳細版は8月上旬に分析を実施しました。本研究の結果が色々と報道されていますが、あくまでそれらは2次ソースです。興味がある方は、下記の1次ソースをご覧ください。


[1] 大前ほか, マルチエージェントシミュレーションによる COVID-19 接触確認アプリ COCOA の感染者数削減効果の検証, 電子情報通信学会 LIOS研究会

こちらは、簡易的な検証版です。条件は、

p1: 0〜100%まで、20%刻み
p2: 0〜100%まで、20%刻み
p3: 100%
p4: 2週間

としています。ですので、p3=100%ですから、感染者は全員特定され、登録するという、最良の条件において、p1とp2の変化に対する感染者数の削減効果について言及しています。ただ、p3も可変にすべきです。これについては、以下の論文で公開しています。


[2] Y. Omae et al., Effectiveness of the COVID-19 Contact-Confirming Application (COCOA) based on a Multi Agent Simulation, arXiv:2008.13166

こちらは、先ほどよりも細かく分析しています。具体的には、

p1: 0〜100%まで、20%刻み
p2: 0〜100%まで、20%刻み
p3: 0〜100%まで、20%刻み
p4: 2週間

としました。簡易版と比較し、p3が可変になっています。ですので、感染者の登録率が考慮されたシミュレーションとなっています。2020年9月1日にプレプリントとして、arXivで公開されますので、ご興味がありましたらご覧ください。同時に査読が開始されますが、それはおそらく、うまくいっても年明けの出版になると思います。